三國第一山新倉富士浅間神社
忠霊塔のふもとにある神社が新倉富士浅間神社(あらくらふじせんげんじんじゃ)です。
神社の正しい名称は『富士浅間神社』ですが、周辺地域は古くから新倉(あらくら)と言われ、この新倉の氏神が富士浅間神社であることから、地域住民は「新倉浅間神社」と呼んでいます。参道の入り口には「新倉富士浅間神社」と記された石碑があることが根拠なのか分かりませんが、周辺の看板や案内板は「新倉富士浅間神社」と表記されていることから、このサイトでも一般的に呼ばれている新倉富士浅間神社として紹介致します。
- 神社名:三國第一山 富士浅間神社
- 御祭神:木花開耶姫之命 大山衹之命
- 住所:山梨県富士吉田市新倉3353番地
- 電話番号:0555-23-2001
- 公式サイト:http://www.arakurasengen.com/
新倉富士浅間神社と忠霊塔の関係
忠霊塔は、新倉富士浅間神社の境内から向かいます。参道を通って大鳥居をくぐったのち、神社の境内を通って忠霊塔へ向かうのですが、神社の境内を通ることから多くの方が忠霊塔へ向かう前に神社へ参拝します。そのため特に海外からの観光客の中には、忠霊塔と新倉富士浅間神社が一体の施設だと勘違いされる方が多いと思います。
本来、忠霊塔は宗教色が伴なわない慰霊塔ですが、ここ新倉山の忠霊塔は、大阪四天王寺の五重塔を模しているので仏教色が強い施設となっています。神社に仏教の施設である五重塔はありませんね。このように新倉富士浅間神社と忠霊塔は直接関連はないのですが、新倉富士浅間神社周辺と忠霊塔は、富士吉田市が管理する新倉山浅間公園として一体的に整備が行われています。
新倉富士浅間神社の歴史

新倉富士浅間神社の創建は、慶雲三年(706年)と言われているので、1,300年余り続く由緒ある神社です。ちなみに富士山の世界文化遺産の構成資産の一つである北口本宮冨士浅間神社の創建は、延暦七年(788年)と言われているので、それよりも歴史が古いことになります。
神社の境内には、平成十一年の御更衣大祭を記念して建立された石碑があります。その内容は以下の通りです。
第四十二代文武天皇の御代慶雲三年(西暦七百五年)九月九日甲斐の國八代郡新倉郷へ富士北口郷の氏神として祀る。
第五十一代平城天皇の御代大同二年(西暦八百七年)富士山の大噴火があり、八月二十二日当社に朝廷から勅使が参向せられ「國土安泰、富士山鎮火大祭」が執行され、その時、平城天皇より三國第一山の称号並びに、天皇の御親筆を賜り、現在の大鳥居の勅額、金幣、破魔宝面(勅使面)を奉納せられた由緒ある神社であります。
当神社では御神体の御更衣を六十年毎に行なう往古よりの慣例が有り、御縁年の本年、御更衣大祭を斎行し記念に之を建立す。
新倉富士浅間神社の参道
新倉富士浅間神社参道入り口

中央自動車道富士吉田線のガード下をくぐり、入山川に掛かる橋を渡ってすぐのところに新倉富士浅間神社の参道入り口があります。鳥居はありませんが両側に石柱があり、その奥には急な階段があります。地理的にこの場所は、新倉山のきわであり、地形を活かした急な階段が俗界と聖域を隔てています。歩いて忠霊塔を目指す方は、この参道を入ります。四月中旬には、周囲の桜が綺麗に咲いて訪れる人を迎えます。
写真には写っていませんが左側に車道があるので、車でお越しの方は参道脇を入って大駐車場(無料)へ車をと駐めて下さい。
桜ともみじが美しい参道

参道入り口の急な階段を上ると、緩やかに石階段で上る参道が続きます。4月中旬には桜が咲き、その後もみじの葉が開き始めます。もみじは若葉から葉が赤い種類なので、新緑が美しい季節でも参道だけは真っ赤に染まります。
新倉富士浅間神社の大鳥居

参道を進むと一段高い位置に朱色に塗られた大鳥居が参拝者を迎えます。大鳥居をくぐって振り返ると、大鳥居の向こうに富士山を見ることができます。大鳥居が額縁のように富士山を囲うので、人気の撮影スポットになっています。
新倉富士浅間神社は三国第一山

新倉富士浅間神社は、大同二年(807年)に平城天皇より『三国第一山』の称号が与えられました。三国とは当時の日本、中国、天竺を指しています。参道の大鳥居には、三国第一山と記された額が掲げられています。
参道に鎮座する狛犬

大鳥居をくぐってもその先の様子は見えません。最後の急な階段を上がるとようやく聖域、神社の境内へ入ることができます。階段を上った両脇の狛犬が、厳しい表情で参拝者へ視線を送っています。
新倉富士浅間神社本殿
鬼が参拝者を見下ろす新倉富士浅間神社本殿

参道を上って更に50mほど歩くと正面に本殿が現れます。本殿に向かって右側に神楽殿。写真には写っていませんが、左手前に手水舎と社務所があります。社務所でお守りを授かる観光客の姿を沢山見かけます。

本殿は獅子や象をはじめとする、様々な彫り物が豪華に飾られ神社の威厳を感じます。


本殿の屋根には厳しい表情の鬼が鎮座し、訪れる参拝者を見下ろしています。

急増する海外からの観光客のために、英語で記されたおみくじもあります。


手水舎にも本殿と同じ獅子の彫り物が四方に配置されています。なかなか気が付かない軒下から参拝者の様子を見つめているようです。
新倉富士浅間神社のまとめ

1,300年という大変古い歴史を持つ由緒ある新倉富士浅間神社ですが、決して大きな神社ではなく、新倉山の森の中にひっそりとたたずむ地域に根差した神社です。本殿や手水舎に飾られている獅子や象の彫り物の美しさを見ても、新倉富士浅間神社が地域住民にとっていかに重要な神社であるか垣間見ることができます。
毎年正月には、多くの地域住民が初詣に訪れます。また富士山が世界文化遺産に登録されて以降、忠霊塔へ訪れる観光客が増えたことで新倉富士浅間神社の参拝者も増え、桜の季節になると参拝客の列ができるほどです。
忠霊塔へお越しの際は、霊験あらたかな新倉富士浅間神社にもお立ち寄り頂き、1,300年続く歴史とこの場所の神聖な空気に触れて下さい。